お気に入りの古伊万里のお皿が欠けてしまい、うつわの百福で天野美さんに金継ぎをしてもらいました。
最近流行りの簡易な現代金継ぎではなく、天野志美さんによる伝統的な金継ぎ。
時間もかかり、金継ぎの費用も器の価格以上になったりするのですが、それでももとの器以上の味わいが加わり、プライスレスな器となりました。
お気に入りの古伊万里が欠けてしまった
普段使いできる生活骨董の古伊万里が好きで、京都のてっさい堂やアンティークベルで少しずつ器を買い求めています。てっさい堂は京都に行ったら必ず立ち寄り、リーズナブルなものも多いアンティークベルはオンラインショップをいつもチェックしています。
こちら、アンティークベルのオンラインショップで6枚買った江戸時代の古伊万里の七寸皿。

雲龍という雲の間を龍が飛翔する伝統的な図で、このお皿は色や金もあしらわれているのでとても華やか。使いこなせないかな、と思ったのですが、使ってみるとこれが何にでも合う。和食はもちろんなのですが、ハンバーグのような洋食や、朝食のクロワッサンやフルーツなんかをのせると、一気に素敵なレストランのご馳走に見えてしまうのです。うちで一番活躍するお皿になりました。


伝統的な金継ぎか、流行りの現代金継ぎか、金継ぎ教室か
大切にしていたのですが毎日愛用していたの、6枚購入したうち、1枚は端が欠けてしまい、もう一枚はヒビが入ってしまいました。金継ぎをして長く使いたいということでリサーチ。
流行りの現代金継ぎはどうかしら、金継ぎ教室も楽しそう、伝統的な金継ぎとどう違う?
いろいろ調べているうちに、大好きな器やさん、青山の百福(ももふく)で期間限定で金継ぎをしますとウェブサイトにあったので、お店に伺ってよく相談してみました。
結論、伝統的な金継ぎで、信頼できる店で相談して、信頼できるプロに頼むのがよし!
伝統的な金継ぎを選び、専門家に任せた理由は4つ
伝統的な金継ぎは、現代金継ぎと違い、時間もかかり、料金も高いです。きちんとした工程を踏み、通常3ヶ月ほど。また、金継ぎ教室よりもプロに任せるとさらに高くなります。5000円くらいからなので、元のお皿の値段より高くなることも多いわけです。
それでも、伝統的な金継ぎをプロに任せた、その理由は、
- 伝統的な金継ぎは、多くの現代金継ぎと違い化学的な接着剤は使用せず、本漆や金粉を使用。
- 伝統的な金継ぎは、きちんとした工程で行うので時間はかかるが、その後長く使用できる。
- 伝統的な金継ぎは、また割れたり修理が必要になったときにきちんと剥がして、また金継ぎすることができる。現代金継ぎは剥がせないものが多く、何度も金継ぎできないことが多い。(この点は、好きな器を長く使いたい私には重要でした)
- 金継ぎ教室が流行っているが、自分でやるのは実は、結構難しい。腕のいいプロならアートのような美しさに仕上がる。(このポイントも、センスよく美しく丈夫に金継ぎして、大切に使いたい私には重要でした)
中皿2枚を、金と弁柄で仕上げる約15000円、5ヶ月待った価値ありでした
金継ぎの天野志美さんが、お店にいらっしゃる日に予約をして、器を見せて相談。主に仕上げの金属や色、お見積り。
今回は七寸(約21cmの中皿)二枚で、一枚ははじが二箇所欠けたところを、金で金継ぎ(上の写真2枚)。さりげないけれど、味わいが加わってよりスペシャルな一枚になりました。5555円。




もう一枚は、薄くヒビが入っていたのを持っていって相談したところ、中までヒビが入っているのでいずれ割れてしまうとのことで、その場でパリッと割って、弁柄(べんがら)という赤茶色で仕上げて頂きました。
この景色(壊れて金継ぎした箇所のことを景色と呼んで愛でるそうです。その粋も好き)、いかにも骨董らしく、まさしく箔がついた感。9790円。
二枚で、約5ヶ月。ヒビが大きかったのと、漆を何度も乾かす工程が、夏季だったので時間がかかりました。でも楽しみに待った甲斐ありの出来栄え。
漆を使っているということで、金継ぎ後の器は漆と同様に丁寧な扱いが必要とのこと。でも我が家では漆もがんがん普段使いしているので、金継ぎした2枚もしまいこまず、どんどん使って、さっと洗ってさっと拭いて乾かす、というふうにしています。
金継ぎがあるから、好きな器をたくさん楽しめる幸せ
本当に好きなお皿こそ日常で楽しみたい。お値段のはったお皿こそ、使わないともったいない。でもリラックスして使えない。。という気持ちもありました。でもこれからは金継ぎがあるから、いいものを普段使いで楽しめる幸せが手に入りました。
今回、お世話になった天野志美(あまのしとみ)さんの、センス、丁寧な仕事、とても素敵でした。腕のいいプロにお願いしたからこそのアートのような美しさ。また、大事な器が欠けてしまった時にはぜひお願いしたい方です。
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